2010-01-03

3D空間を進む光線 without Particular

3D空間を進む光線の作り方を紹介します。まずは完成動画から。




主なポイントはCC ParticleWorldの特性と、エクスプレッションによる操作です。

はじめに

光線の表現にはパーティクルを用います。パーティクルは粒子を散らすような表現にはもちろん、粒子を密集させることによって線を引くような表現にも用いることができます。

AfterEffectsの場合「Trapcode Particular」プラグインがよく用いられているのですが、高価なので手を出しにくいのも事実でしょう。今回は標準プラグイン「CC ParticleWorld」を用いた方法を紹介します。

エクスプレッションで放出点をヌルオブジェクトに追随させる

まずは新規コンポを作成します。今回は出力が640×480、尺は15秒としました。コンポができたら新規平面を置いて「CC ParticleWorld」を適用します。青いグリッドは邪魔なので、Grid>offで消しておきます。また、ParticleWorldと通常の画角を揃えるため、新規カメラレイヤーを初期値のまま追加しておきます。

img1この放出点を動かすことで光線の先端を動かすことになります。しかしParticleWorldの座標単位はコンポの座標単位と異なるので、扱いやすくするためにエクスプレッションで座標を補正し、ヌルオブジェクトに追随させます。

新規ヌルオブジェクトを作成(名前を”producer”としています)し、3Dスイッチを入れます。これに放出点を追随させるため、ParticleWorldのProducer>Position Xに以下のようなエクスプレッションを追加します。ParticleWorldの座標はコンポの中央を(0, 0, 0)、コンポの横幅を1として扱っているので、それを逆に補正しています。

(thisComp.layer("producer").transform.position[0]-thisComp.width/2)/thisComp.width



これをY,Zについても同様に行います。分母が常に”thisComp.width”であることに注意してください。

(thisComp.layer("producer").transform.position[1]-thisComp.height/2)/thisComp.width
thisComp.layer("producer").transform.position[2]/thisComp.width



先端の動きは自由ですが、今回はwiggleを使用します。位置に以下のようなエクスプレッションを追加します。

wiggle(2,300)



ここまでで、エクスプレッションの状態はこのようになります。

img2

この時点でプレビューすると、producerに合わせてパーティクルが動いているのが確認できると思います。img3

CC ParticleWorldのパラメータ調整

放出点の大きさ、初速を0にし、パーティクルを手前に向かって「落とす」ことによって光線を表現します。

最初にParticleWorldのオプションで重力方向の設定をします。ParticleWorldのエフェクトコントロール>オプション>Gravityを選択。

img4値をX: 0, Y: 0, Z: -1に変更します。ついでにOpacity MapでPresetsの”Constant”を選びパーティクルの不透明度を一定に、Renderingから”Force Motionblur”にチェックを入れてモーションブラーをそれぞれ設定しておきます。

img5次にParticleWorldのパラメータを調整します。初期状態から変更したパラメータは以下の通りです。Radiusなど、初期値0に見えても実際は正確に0になってないものもあるので注意してください。

img6
ここまででメインの線の動きができました。

仕上げにパーティクルを重ねます。ParticleWorldを適用したレイヤーを複製し、パラメータを変更します。この辺りは好みなので試行錯誤してみてください。Velocityを少し与えると火花のような印象を与えることができると思います。また光の粒子に影があっては違和感があるので、両レイヤーのモードを「加算」「スクリーン」等にしておくと良いでしょう。

img7

レンズフレアを連動させる

光線の先端にレンズフレアをつけます。光源の位置は2Dでしかないので、Z座標についてはフレアのレイヤーそのものを動かすことで擬似的に追随させます。

まずは黒い新規平面を作成します。このときフレアがZ方向に動くことを考え、平面を大きめの解像度で作っておきます。今回は出力が640×480なのでその倍の1280×960にしました。その後「レンズフレア」を適用。3Dスイッチを入れ、モードを「加算」に設定します。その後、以下のようなエクスプレッションを追加します。

レンズフレア>光源の位置

[thisComp.layer("producer").transform.position[0]+320, thisComp.layer("producer").transform.position[1]+240]



トランスフォーム>Z位置(「次元に分割」すると簡潔です)

thisComp.layer("producer").transform.position[2]



img9

光源の位置の合わせ方は色々あると思いますが、今回は単純に平面の大きさの差分だけオフセットしています。producerの動き次第では見切れてしまうこともあり得るので、その場合平面の大きさとエクスプレッションを調整する必要があります。

背景をつける

適当につけます。今回はカラーカーブで放射状のグラーでーションを敷き、Particleを複製してパラメータをいじったものを置いてみました。あまり本質的ではないので説明は割愛します。

img8

おわりに

今回はCC ParticleWorldを用いて光線の表現を紹介しましたが、もちろんこれは土台となるパターンでしかありません。ParticleWorldの紹介なども目的の一つですが、特に初心者の方がパラメータの多さに戸惑わなくなれば幸いです。

パラメータをいじり慣れてきたら、せっかくなのでカメラを動かしたりすると面白いと思います。サンプルaepファイルはCS4ですが、内容的には古いバージョンでも十分再現可能だと思いますので是非試してみてください。

ダウンロード

Licence: Free for all
AE Version: CS4



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この記事の投稿者について:yama_ko
フリーランスでMVを中心に映像制作を行なってます。音楽と調和した映像が好きです。 この投稿者のTwitter @yama_ko

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この記事に対する 32 の反応があります


  1. 1 Yasu@ClockMaker 1月 2nd, 2010 at 16:57

    [B!] After Effectsで3D空間を進む光線の作り方 http://bit.ly/64zb53

  2. 2 Yoshimune KITTA 1月 2nd, 2010 at 17:16

    素敵! RT @clockmaker_core: [B!] After Effectsで3D空間を進む光線の作り方 http://bit.ly/64zb53

  3. 3 HaiTo 1月 11th, 2010 at 06:51

    RT @AEUSERS: 3D空間を進む光線 without Particular http://bit.ly/64zb53
    メモ

  4. 4 kkkfff2 11月 22nd, 2010 at 21:49

    RT @AEUSERS 3D空間を進む光線 without Particular http://bit.ly/7Fl0sE #aejp

  5. 5 11月 27th, 2010 at 15:37

    @RAmADA_M これ結構面白い気がする!(唐突すぎる)http://bit.ly/hSjmDV

  6. 6 zromglkh 3月 7th, 2011 at 14:26

    96XdzB pieepphfcnvj, [url=http://dimeszjzzdbe.com/]dimeszjzzdbe[/url], [link=http://pizvunhesmkl.com/]pizvunhesmkl[/link], http://ljklvycjmgcn.com/

  7. 7 UM(梅) 8月 26th, 2011 at 07:22

    ここまでが限界だった・・・パーティクル出力にZ座標の設定がついてくれたらなぁ・・・(チラッ 参考:http://t.co/ZKlD2Pp #aviutl http://t.co/5qNYGO5

  8. 8 とな 3月 8th, 2012 at 05:20

    これか! http://t.co/M9dqa2Jq RT @KINO_REALA: @to7tzs AEPのサイトにP-worldの位置をヌルにするためのエクスプレッションありますよー!
    パーティクルで線を描く記事だったはず

  9. 9 MONO-Devoid 7月 11th, 2012 at 08:51

    http://t.co/tyH16IhB この通りの事してるのにエクスプレッションでエラー出る。誰か助けて!!!

  10. 10 きせり 9月 13th, 2012 at 07:56
  11. 11 せろっなー 10月 27th, 2012 at 14:07

    @rilrarilha http://t.co/pSLKpHgJ あ、すまん。12月はパーティクルゲーになりそうだから宿題として公演入るまでにこれだけはやって自分なりにやっといてほしい。とくに主線のパーティクル以外の粉の部分。…暇ないなら完成品だけでも見といてくれ。

  12. 12 わっしー 11月 30th, 2012 at 02:17

    メ:http://t.co/twDoq314

  13. 13 むつき 12月 4th, 2012 at 04:55
  14. 14 むつき 12月 4th, 2012 at 04:55
  15. 15 むつき 12月 4th, 2012 at 04:55
  1. 1 かそく Trackback on 1月 3rd, 2010 at 02:51
  2. 2 uzura Trackback on 1月 3rd, 2010 at 03:13
  3. 3 r Trackback on 1月 3rd, 2010 at 18:55
  4. 4 おくるだ Trackback on 1月 3rd, 2010 at 19:05
  5. 5 Suttoko-Dokkoy Trackback on 1月 4th, 2010 at 00:42
  6. 6 tk0451 Trackback on 1月 4th, 2010 at 07:18
  7. 7 Tomoya Amachi Trackback on 1月 4th, 2010 at 19:08
  8. 8 シーフード Trackback on 1月 5th, 2010 at 14:57
  9. 9 1470.netちょっと気になるURL Trackback on 1月 6th, 2010 at 00:28
  10. 10 Suttoko-Dokkoy Trackback on 1月 6th, 2010 at 19:02
  11. 11 水中を突き進むような演出 | AEP Project Pingback on 2月 13th, 2010 at 19:42
  12. 12 3D空間を進む光線 without Particular 2 | AEP Project Pingback on 10月 26th, 2011 at 23:02
  13. 13 3D空間を進む光線 without Particular | Tips - After Effects - 動画編集ソフト - アプリケーション | Jishuu.net Pingback on 4月 8th, 2012 at 00:15
  14. 14 learn more at this blog Trackback on 5月 8th, 2012 at 21:13
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  17. 17 AfterEffectsで水中を突き進むような演出(ソースファイル付き) | blog.ks-product.com Pingback on 11月 5th, 2013 at 23:17

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